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瀬古 典明; 玉田 正男; 吉井 文男
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 236(1-4), p.21 - 29, 2005/07
被引用回数:104 パーセンタイル:98.74(Instruments & Instrumentation)環境水から有害金属を取り除くことは環境負荷軽減の目的から重要なことである。放射線グラフト重合及び架橋技術を用いて作製した吸着材はこれらの金属に対して優れた吸着除去性能を示す。グラフト重合法は材料に汎用のフィルムや繊維などを用い、これらの既存の成型を保ったまま金属除去可能な官能基を容易に導入できる特色を持った技術である。この技術を用いてヒ素を除去するための吸着材を作製したとところ、市販の同タイプのものと比較して100倍の吸着速度で処理できることがわかった。また、アミドキシム型やイミノジ酢酸型の吸着材はホタテ貝中に濃縮されているカドミウムを効率的に除去できる。さらに、キチン,キトサンのような天然高分子をペースト状態で架橋させたものも吸着材としての使用が可能で、この吸着材は使用後生分解できる利点がある。
瀬古 典明; 玉田 正男; 吉井 文男
日本原子力学会和文論文誌, 3(4), p.340 - 345, 2004/12
放射線グラフト重合技術を用いてキレート吸着剤を合成し、pH0.5から12までの領域でウラン吸着特性を評価した。アミドキシム型,イミノ二酢酸型,リン酸型の吸着剤は、それぞれアクリロニトリルとメタクリル酸の混合液,メタクリル酸グリシジル,リン酸エステルモノマーを用いてグラフト重合し、アミドキシム型,イミノ二酢酸型については、グラフト重合後の化学処理により官能基を導入した。グラフト重合時間が2, 1.5, 8時間で各々3.5, 2.0, 2.0mol/kgの官能基が導入された。ウラン溶液に吸着剤を入れ、吸着性能を分配係数により評価した結果、市販樹脂と比較して、pH0.5ではリン酸型が200倍、pH8以上のアルカリ領域ではアミドキシム型が500倍の性能を有することがわかった。キレート吸着剤は強固に金属を吸着するため、ウランの脱着による二次汚染が生じることはなく、スラッジ廃棄物の処理材料としての応用が期待できる。
城 昭典*; Kugara, J.*; Trobradovic, H.*; 山部 和則*; 須郷 高信; 玉田 正男; 久米 民和
Industrial & Engineering Chemistry Research, 43(7), p.1599 - 1607, 2004/03
被引用回数:28 パーセンタイル:67.22(Engineering, Chemical)繊維状イミノジ酢酸キレート型陽イオン交換体はポリエチレンコートしたポリプロピレン単繊維とその不織布にポリクロロメチルスチレンを放射線グラフトした材料から合成した。得られた繊維状キレート材料の官能基密度と酸容量は単繊維と不織布でそれぞれ2mmol/gと4mmol/gであった。不織布材料を用いて二価のイオンの選択性を調べた結果、Mg(II)Ca(II)Co(II)Zn(II)Cd(II)Ni(II)Pb(II)Cu(II)の順になることがわかった。また、吸着容量はpH5でCa(II) 0.91mmol/g, Mg(II) 0.98mmol/g, Cd(II) 1.5mmol/g, Ni(II) 1.5mmol/g, Pb(II) 1.6mmol/g, Cu(II) 1.8mmol/gであった。三価のイオンではLa(III) 0.75mmol/g,Gd(III) 0.92mmol/g, Lu(III) 1.0mmol/gとなった。単繊維を用いたカラムモードでの評価では、Cu(II)について、破過容量は約1mmol/gで、空間速度が200~300hまで変化が認められなかった。
Kugara, J.*; Trobradovic, H.*; 城 昭典*; 須郷 高信; 玉田 正男; 片貝 秋雄
日本イオン交換学会誌, 14(Suppl.), p.77 - 80, 2003/00
クロロメチルスチレンを放射線グラフト重合したポリエチレン/ポリプロピレン芯鞘構造不織布(12m)をイミノジ酢酸ジエチルと反応させ、機能化した。得られたイミノジ酢酸型キレート繊維(FIDA-f)の酸容量は4.3meq/gであった。FIDA-fカラムのコンディショニングpHの増加により、試料溶液の供給最大許流量は減少したが、鉛イオン(II)の破過曲線特性は800hの空間速度まで変化は見られなかった。FIDA-fは5ppmの鉛イオン(II)濃度に調整した河川水から、定量的に鉛イオン(II)を400hの空間速度で600ベッドボリューム除去できることを確認した。
松鶴 秀夫; 和達 嘉樹
日本化学会誌, 1973(4), p.643 - 647, 1973/04
放射性廃棄液をイオン交換樹脂により処理する際に重要な因子である金属イオンの樹脂への収着速度を一定容積系で求めた。その結果、Co(II)の収着速度はイオン強度、樹脂の粒度、および反応温度に依存し、イオン強度0.001~0.01の範囲では、反応の律速段階はfilm diffusionであるが、イオン強度0.05~0.1の範囲では、particle diffusionが律速段階であることが明らかとなった。一方、Ce(III)の収着速度はイオン強度および樹脂の粒度に依存せず、擬一次反応速度式に従う。畢竟、この反応の律速段階はCe(III)と官能基のイミノジ酢酸とのキレート形成反応であると見倣せる。